丸山ワクチン(SSM:Specific Substance MARUYAMA)は1944年、皮膚結核の治療薬として誕生しました。ワクチンの生みの親である故・丸山千里博士(元日本医科大学学長)にちなんで、後にこのワクチンは丸山ワクチンと呼ばれるようになりました。
先生がこのワクチンを用いて皮膚結核やハンセン病の治療に打ち込む中で、あるとき、このワクチンを投与されている患者さん達にはがんの発生が少ないことに気付き、それからがんに対するワクチンの作用を調べる研究が始まりました。
1964年の暮れ、丸山先生は実際のがん治療にワクチンを用いることを決意し、知り合いの医師にワクチンを使ってみてくれるように依頼しました。そのうちに、あちこちの医師から「がんの縮小がみられる」などの報告が届くようになります。何よりも驚いたのは、ワクチンを打った末期がんの患者さんの中に、がんと共存して何年も元気に暮らす人が現れるようになったことです。
「ワクチンを使えば人ががんと共存できる道が開けるのではないか?」丸山先生は、身体からがんを排除する従来の治療法ではなく、がんを体内に宿したまま生きる方法もあると確信し、こうしてワクチン療法によるがん治療が始まりました。
(1) 丸山ワクチンの原材料であるヒト型結核菌には、免疫の司令塔である樹状細胞を活性化するリポアラビノマンナン、ペプチドグリカン、アルカロイドなどが含有されていることがわかっています。活性化した樹状細胞は、獲得免疫のヘルパーT細胞やキラーT細胞群に、侵入してきた異物(がん細胞)の情報を提示し、がん細胞と戦う抗体の産生を促します。また丸山ワクチンは樹状細胞だけでなく、NKT細胞やガンマデルタT細胞などの「自然免疫」を担う細胞群も直接的に活性化しているらしいことがわかってきています。
(2) 一般に傷ができると、傷口の周辺に毛細血管が新生されるとともに、コラーゲン(細胞と細胞の間を埋めている間質組織)を産出する繊維芽細胞と呼ばれる細胞が集まってきます。破壊された箇所にコラーゲンが埋め込まれ、やがて傷口はかさぶたで覆われます。かさぶたが剥がれ落ちたとき、傷は完全に治っています。この仕組みががんでも見られます。がん細胞が浸潤して組織を破壊すると、周囲にコラーゲンが増殖して、組織を修復しようとします。誰の身体にもある「自然治癒」の仕組みです。しかし、がんの増殖の勢いが強いときは、自然治癒の力が押さえつけられます。つまり、コラーゲンを産出する力が衰えているか、あるいはいくら産出してもがんの増殖に追いつけないのです。丸山ワクチンを打つと免疫細胞が目覚めて、インターフェロンやインターロイキンなど生理活性物質(サイトカイン)を産生します。これらが「コラーゲンを増強せよ」という指令を細胞間に伝え合います。その結果がん細胞周囲のコラーゲンが強力に増殖し、がん細胞が「封じ込め」られるのです。
*こうした研究の成果から現在、ウシ型結核菌の生菌であるBCGを使った治療ががん先進治療法として保険診療の現場で取り入れられ、「膀胱がんに対するBCG注入療法」として広く認知されてきています。
【費用について】
有償治験の費用は1クール分(通常隔日投与の20本、40日分)につき、9720円です。この他注射手技料が、注射1回につき800円かかります。
40日に1回、経過を記した文書を大学に送る必要がありますが、当院では、文書代として1回2160円頂いております。