グルタチオンは、もともと身体の組織に広く分布している化合物です。抗酸化物質の一つであるグルタチオンは、フリーラジカルや過酸化物といった活性酸素種から細胞を保護する補助的役割を有していおり、従来保険薬としても「妊娠悪阻、晩期妊娠中毒、慢性肝疾患、放射線による白血球減少、宿酔、口腔粘膜の炎症」などに使用されております。
米国や欧州では、グルタチオンのこのフリーラジカルスカベンジャー(活性酸素を捕まえて消去する)としての機能に着目して、これを高容量点滴投与することにより、活性酸素種により生じていると考えられる様々な病態・症状の治療・改善に使われるようになってきております。
特に注目すべきはパーキンソン病に対する治療効果です。パーキンソン病は脳幹にある黒質が変性して神経伝達物質の一つであるドーパミンが働かなくなり、手の震えや歩行障害、動作緩慢、認知症などの症状が次第に進行する神経変性疾患です。いろいろな(保険)治療薬が開発されてきていますが、未だ非常に難治性の疾患です。最近の研究で、パーキンソン病など多くの疾患に活性酸素が関与していることが指摘されるようになってきました。パーキンソン病の場合、黒質に於けるグルタチオン濃度が健常者より著しく低下していることが分かっています。つまり、パーキンソン病の根本原因の一つは、グルタチオンの減少に伴う活性酸素種の増加により、黒質が障害され変性してしまうことと考えられます。米国においてはDr.Perimuterがこの治療法を積極的に行い、有効な治療法であると報告しています。現在、南フロリダ大学において臨床研究が進行中です。日本でも補完代替医療の一つとして、数百を超える医療機関で治療に応用されています。
【対象疾患】
・パーキンソン病
・抗がん剤による神経障害
・各種神経疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性肝疾患
・線維筋痛症
・慢性疲労症候群
・原因不明の急性・慢性湿疹 など
【副作用について】
グルタチオンは人間の身体の中に常に存在し、自分自身でも作り出している物質ですので、高容量で点滴してもほとんど副作用はありませんし、パーキンソン病が悪化するようなことはありません。
【費用について】
健康保険は使えません。自費診療になります。
グルタチオン点滴:1回3000〜4000円
(投与するグルタチオンの量で変動します)