当院では、急性病・慢性病を問わず、必要に応じて漢方薬(医療用エキス製剤)による治療を行っております。
葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、大青竜湯、小青竜湯、桂枝麻黄各半湯、小柴胡湯、参蘇飲、香蘇散、麻黄附子細辛湯、…。これらはすべて風邪の初期に使われる漢方薬です。それぞれの薬を使い分けるポイントを一言で言いますと、それは患者さんの体力(抗病力)の違いです。漢方がオーダーメイド治療と言われる所以ですが、風邪の初期といっても患者さんの体力の違いで症状の出方は随分違います。「のどがちくちくして寒い」と言って青白い顔をしてやって来られる痩せ型の高齢者の方もいれば、「熱っぽくて頭が痛い」と言って赤ら顔をしてやって来られるがっちりタイプの中年男性の方もいらっしゃいます。
西洋薬ですと解熱・鎮痛・抗鼻炎作用の薬効成分がブレンドされた、いわゆる「総合感冒薬」一種類しかないので、先述した「痩せ型の高齢者」にも「がっちり型の中性男性」にも同じ薬を出すことになります。したがってどうしてもその方の体力によっては「薬が合わない」(眠気、だるさ、胃痛等)といったことが出てくるのです。
漢方は八綱弁証と言って、病態を陰陽・表裏・寒熱・虚実に分類し、さらに六病位、気血水、五臓といった各種パラメーターを使って病態を把握します。現代は血液検査や各種画像診断など西洋医学的検査が発達していますので、これらによる検査結果も加味して診断します。そうして、その方にとって西洋薬で治療するのが良いか、漢方薬のほうが良いか、それともあわせて使ったほうが良いか、など考えていきます。